こんにちは、つま小児科クリニックのブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではクリニックのことや、小児科に関係する色々なことをお話させていただこうと思っております。
今回は0歳時の予防接種の副反応についてお話させていただきます。
◎よくある副反応
【発熱】
起こる頻度:生後2か月の初回予防接種では3-5%程度、2回目以降の接種では10%程度の患者さんにみられます。
起こりやすい時期:接種当日の夜か、翌日朝に発熱が起こることが多いです。
経過と対応:高熱が出ることもありますが、全身状態は良く半日程度で自然に熱が下がることが多いです。ただ、発熱があった場合、原因が予防接種の副反応なのか、それとも感染症など他の原因による発熱なのかを見分けることは難しいことも多いです。発熱のみで全身状態が問題なければ夜間は様子を見てもらっても大丈夫です。発熱以外に活気がない、泣き声が弱々しい、哺乳量や哺乳力が普段より少ない、おしっこが少ないなどがあれば早めに病院を受診してください。特に生後2か月時は感染症に対する抵抗力が弱いため、注意深い観察が必要です。
【接種部位の局所反応(赤み、腫れ、硬結(しこり))】
起こる頻度:軽度のものは50%程度、目立つくらいのものは10-20%程度の患者さんにみられます。
起こりやすい時期:接種当日の夜か翌日が多いですが、数日してから現れることもあります。
起こりやすい部位:特に肺炎球菌ワクチンを接種した部位に起こることが多いです。
経過と対応:特に治療の必要がないことがほとんどで、数日以内におさまることが多いですが、1か月程度しこりが残ることもあります。基本的に様子見で大丈夫なのですが、二の腕全体が腫れてくるなど、腫れがひどい場合は病院を受診しましょう。
【下痢:ロタウイルスワクチンの副反応】
起こる頻度:5%未満の患者さんにみられます。
起こりやすい時期:接種数日後に起こることが多いです。
症状と対応:軽い下痢がみられますが、通常軽度で数日以内におさまるため対応不要のことが多いです。便中にロタウイルスがわずかに排泄されるため、特に抵抗力が弱っている方が身近にいる場合は、おむつ処理後の手洗いをしっかりと行ってください。
◎頻度は低いが重篤な副反応
アレルギー反応、アナフィラキシー:重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こる可能性は10万分の1以下です。アレルギー反応は接種して通常15分以内、遅くとも30分以内に起こることが多いです。早急な治療が必要です。
腸重積:ロタウイルスワクチンの副反応で起こる可能性があります。3万分の1程度の頻度です。多くは接種10日以内に起こります。1回目の接種の後に一番起こりやすく、2回目、3回目とリスクは少なくなります。血便、頻回の嘔吐や間欠的啼泣(10~15分間隔で激しく泣いたり、おさまったりを繰り返す)がみられることが多いです。血便や頻回の嘔吐、1時間以上間欠的啼泣が続く場合は早急に病院を受診してください。早期に対応すれば治癒することが多いです。
◎副反応があった場合の次の予防接種について
発熱などの副反応が起こっても、次の予防接種時では大丈夫なことが多いです。副反応を恐れて予防接種を行わないことの方が通常デメリットが大きいため、スケジュール通り予防接種を進めていきましょう。
アレルギー反応や腸重積が起こった場合、原因となったワクチンは以降接種できないこともあります。病院で相談してください。
◎複数のワクチンの同時接種について
日本小児科学会の声明では、複数のワクチンを同時接種しても、それぞれのワクチンの有害事象、副反応の頻度が上がることはないため、基本的には同時接種を行うことが勧められています。すべて個別に接種した場合、推奨されている期間に定期接種を済ませるためには生後2~6か月の間に14回か15回予防接種のために病院を受診する必要があります(一般的な同時接種スケジュールであれば受診は4回)。通院の負担が少なくなることはもちろんですが、同時接種の方が必要な予防接種を早くうてるため、ワクチンで予防出来る病気から子どもを守れる可能性が上げることが出来ます。
以上、0歳時の予防接種の副反応についてお話させていただきました。
最後までご覧いただきありがとうございました。