予防接種

1歳以降に打つ予防接種の話

 こんにちは、つま小児科クリニックのブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではクリニックのことや、小児科に関係する色々なことをお話させていただこうと思っております。

 今回は1歳になって以降に打つ予防接種の種類とその効果についてお話させていただきます。

 予防接種スケジュールを確認されたい方はこちら(NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会のHPにリンクしています)

 (0歳時の予防接種の種類とその効果の情報はこちら)

 

定期接種(自治体から補助が出て無料で接種できるワクチン)

 

◎0歳時に打ったワクチンの追加接種

・肺炎球菌ワクチン:通常1歳になったら早い段階で接種します

・ヒブワクチン:通常1歳になったら早い段階で接種します

・ 4種混合ワクチン:1歳半頃に水痘の2回目接種に合わせて接種することが多いです

・日本脳炎ワクチン(0歳時に2回接種している場合):1歳半頃に水痘の2回目接種に合わせて接種することが多いです

※詳細はリンク参照

 

◎MR(麻しん・風しん)ワクチン

 通常1歳になった早い段階で1回接種、2回目は年長さんの時に接種します。

 麻しん(はしか)は非常に感染力が強く、免疫がない状態では患者と同じ部屋にいるだけでほぼ100%感染します。日本では年に数百人の感染がみられます。麻しんに対しては有効な抗ウイルス薬がなく、発熱が1週間程度続き、肺炎、中耳炎や脳炎を合併し致死的になることもあります。

 風しんは年に数百人患者が発生します。症状は比較的軽いことが多いのですが、妊娠初期の妊婦が感染すると高率に胎児に異常が起こります(先天性風疹症候群:新生児に難聴、心奇形、白内障、発達遅滞など)。

 MRワクチンを接種することにより、麻しん、風しんの感染を95%以上予防し、感染したとしても重症化を防ぐ効果が得られます。

 

◎水痘ワクチン

 通常1歳になった早い段階で1回接種、2回目はその半年後に合計2回接種します

 水痘(みずぼうそう)は感染力が強く、ワクチンを接種しなければ10歳になるまでに約80%の小児が感染します。健康な小児に感染した場合、軽症で済むことが多いですが、1週間程度は出席停止となります。また、まれに重症化し致命的となることもあります。成人が感染した場合、小児と比較して重症化することが多いです。

 水痘ワクチンを1回接種すると約85%、2回接種すると90%以上の感染を予防し、感染した場合でも重症化を防ぐ効果が得られます。

 

◎二種混合ワクチン

 1歳時までに4種混合ワクチン接種で獲得したジフテリア、破傷風の予防効果を高めるために、11~12歳時に二種混合ワクチンを接種します。

・ジフテリア:激しい喉の痛みや、呼吸困難が起こります。2000年以降、日本国内でジフテリア感染は起きていません。

・破傷風:深い傷から菌が侵入し、発症すると筋肉が硬直したり痙攣したりして、息が出来なくなる病気です。日本では年間100例程度、主に高齢者に感染がみられます。予防接種によりほぼ100%予防出来ますが、予防接種後10年ほどで免疫力が落ちてきます(成人後深い傷を負った場合は破傷風予防のために注射を行うこともあります)。

 

◎HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン

 標準的には中学校1年生の女子が対象で、定期接種自体は小学校6年生~高校1年生の女子が対象です。積極的勧奨の差し控えにより接種機会を逃した1997年4月2日~2006年4月1日生まれの女性は2025年3月まで公費(自己負担なし)で接種を行うことができます。

 HPVは複数の種類があり、そのうち2種類を予防できる2価ワクチンのサーバリックス®、4種類を予防できる4価ワクチンのガーダシル®、9種類を予防できる9価ワクチンのシルガード9®があります。2023年3月7日の第45回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の資料によると、2価および4価ワクチンは日本国内の子宮頸がんの原因となるHPVの64.9~71.2%を予防し、9価ワクチンは81.0~90.7%を予防するとされています。多くの種類を予防できる方が当然よいので、今後は9価ワクチンのシルガード9®が主流となっていくでしょう(当院でもシルガード9®を推奨しています)。

 9価ワクチンのシルガード9®は2回もしくは3回接種を行います。2回接種は小学校6年生から15歳未満のみ可能で、標準的には初回接種の6か月後に2回目を接種します。3回接種の場合は標準的には初回接種の2か月後に2回目、2回目から4か月(初回接種から6か月)後に3回目を接種します。

 2価ワクチンのサーバリックス®は標準的に初回接種から1か月後に2回目、2回目から5か月(初回接種から6か月)後に3回目を接種します。

 4価ワクチンのガーダシル®は標準的には初回接種から2か月後に2回目、2回目から4か月(初回接種から6か月)後に3回目を接種します。

※HPVワクチンの接種回数や間隔は今後変更となる可能性があります。

 子宮頸がんは日本では年間1万人前後の方が発症し、3000人前後の方が死亡している女性特有のがんです。4価ワクチンについては、対象となる型の6型、11型、16型、18型のHPVの感染に起因する前がん病変を100%予防する1)とされています。9価ワクチンは4価ワクチンで予防出来ない31型、33型、45型、52型、58型に起因する前がん病変を96.7%予防するという報告2)があり、海外でHPVワクチンがすでに広く接種されている国では特にHPVワクチン接種対象年齢での子宮頸がん患者の激減が認められています3)。

 以前マスコミなどでよく言われていた、慢性の痛みや運動機能の障害などHPVワクチン接種後の多様な症状とHPVワクチンとの因果関係はないと判断されています(HPVワクチンの接種者と非接種者を比較した場合、これらの症状を訴える方の割合は変わらないという調査結果が出ています4))。

【参考文献】

1)ガーダシル®水性懸濁筋注シリンジ添付文書

2)Joura EA, et al. A 9-valent HPV vaccine against infection and intraepithelial neoplasia in women. N Engl J Med. 2015 Feb 19;372(8):711-23.

3)Falcaro M, et al. The effect of the national HPV vaccination programme in England, UK, on cervical cancer and grade 3 cervical intraepithelial neoplasia incidence: a regiter-based observational study. Lancet. 2021 Dec 4;398(10316):2084-2092.

4)Suzuki S, Hosono A. No association between HPV vaccine and reported post-vaccination symptoms in Japanese young women: Results of the Nagoya study. Papillomavirus Res. 2018 Jun;5:96-103.

 

任意接種(有料のワクチン)

 

◎ムンプス(おたふくかぜ)ワクチン

 標準的には通常1歳になった早い段階で1回接種、2回目は年長さん時に接種します。

 ムンプス(おたふくかぜ)は年間数十万人以上が感染する比較的よくみられる感染症で、通常5日程度で自然治癒することが多いですが、まれに無菌性髄膜炎(数%)、難聴(0.1~0.2%、通常一生片耳が完全に聞こえなくなる)などの深刻な合併症が起こります。

 ムンプスワクチンの接種により、90%程度おたふくかぜを予防し、感染したとしても重症化を防ぐ効果が得られます。

 

◎インフルエンザワクチン

 通常10月以降に13歳未満は1~4週間隔で2回接種、13歳以上は1回接種します。

 インフルエンザワクチンの有効性はその年の流行するインフルエンザウイルスのタイプにより異なり、2015~2016年の報告5)では、6歳未満では60%感染を防ぎ、また重症化の予防にもつながるとされています。

 インフルエンザのワクチンの効果は毎年打つことによりさらに高くなります。インフルエンザワクチンの予防効果が期待できるのは2回目接種2週間後から5か月間程度と考えられています。例年12月~4月頃までインフルエンザの流行がみられるので、11月か12月前半には2回目接種を済ませるとよいでしょう。

【参考文献】

5)ワクチンの有効性・安全性評価とVPD(vaccine preventable diseases)対策への適用に関する分析疫学研究. 平成28年度厚生労働科学研究データベースより

 

 

 以上、1歳時以降にうつ予防接種についてお話させていただきました。

 最後までご覧いただきありがとうございました。

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