こんにちは、つま小児科クリニックのブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではクリニックのことや、小児科に関係する色々なことをお話させていただこうと思っております。
今回は子どもの目やにのお話をさせていただきます。
◎そもそも「目やに」とは
目やには医学用語では「眼脂:がんし」といい、皮膚のアカのような、生理的な分泌物です。目の粘膜も新陳代謝を繰り返しており、目の表面の角膜や結膜からはがれ落ちた古い細胞や粘液からなります。目やには古い細胞と一緒に目についたゴミやホコリを外に目から追い出すはたらきがあります。
一方、細菌やウイルスなどが目に侵入した場合にも、免疫反応が起こって目やにが出ることがあります。これは、体にとって異物を排除する働きのある白血球が、異物を取り込んだり分解したりして目の外に排除しようとする結果によって出来たものです。この場合、目やにの中には細菌やウイルス、白血球などが含まれます。
◎鼻涙管(びるいかん)とは
泣くと鼻水が出る、これは皆さん経験されたことがあると思いますが、なぜ泣くと鼻水が増えるかご存じでしょうか?よく考えると不思議ですね。
この項のタイトルにもなっている「鼻涙管」がこの理由のひとつです。鼻涙管は目頭と鼻の中をつないでおり、涙を鼻の中に流す管の役割を果たしています。
泣いていない時でも涙は少量分泌されており(これが少ないとドライアイとなります)、鼻涙管の中もちょろちょろと涙が常に流れていますが、量が少ないので鼻水として認識することはありません。一方、泣いたりして涙がたくさん分泌されると、鼻涙管の中をたくさん涙が流れて鼻水としてあふれ出すというわけです。
◎どんな時に目やにが増えるか
目に雑菌や異物が入ると、免疫反応が起こって目やにが増えます。年長児や成人の場合、通常この場合に目やにが増えます。
一方年少児では、体格が小さい分、鼻涙管も細いので、鼻涙管の中を涙がうまく流れなくなることによって涙が増えたり、目やにが増えたりすることがあります。
風邪などで鼻の粘膜に炎症が起こると、鼻の粘膜がむくんで分厚くなります。分厚くなった粘膜は鼻涙管の鼻側の出口がふさいでしまうので、涙の流れが悪くなってしまい、目に涙があふれます。涙が目にたまっていると、涙が乾いたり、雑菌が繁殖して目やにが増えてしまいます。
さらに小さい赤ちゃんではどうでしょうか。鼻涙管はさらに細くなるので、空気の乾燥で鼻の中が荒れる程度だったり、はっきりとした原因もないのに鼻涙管の中の涙の流れが悪くなって常に涙を浮かべていたり、目やにが多いこともあります。乳児期の場合、片方の鼻涙管だけが細いこともあり、この場合片目だけ目やにが目立ったりすることもあります。
◎目やにの対応法は
少しの目やにだけで、白目が赤くなったり目の違和感などがなければ、きれいに拭くなど清潔を保つだけで様子をみてよいでしょう。
白目が赤くなったりしている場合や目やにの量が多い場合はアデノウイルスなどウイルスの検査が必要であったり、目薬などを使用した方がよいこともあるので、小児科もしくは眼科の受診を検討してください。
目やにと鼻水の両方が多い場合、花粉症などのアレルギーや、風邪で鼻涙管の出口が狭くなっていることが原因のことがあります。目薬や風邪薬などを使用した方が症状が軽くすむことが多いため、小児科受診を検討してください(眼科受診でも良いのですが、結局小児科や耳鼻科も一緒に受診する必要があるかもしれません)。
◎鼻涙管マッサージとは
乳児期に鼻涙管が細くなっている場合、鼻涙管マッサージを行うとことで、鼻涙管の流れが良くなることが期待できるため、試してみてもよいかもしれません(まず病院に受診して、診察してもらった方が安心です)。
鼻涙管マッサージは、清潔な手(爪の長さにも注意してください)で赤ちゃんの目の高さの鼻の付け根を軽く圧迫することにより行います。これを1日数回行うと症状の改善が期待できます。鼻涙管マッサージを行っても症状の改善がみられない場合、眼科受診を検討してください。
以上、子どもの目やにについてお話させていただきました。
最後までご覧いただきありがとうございました。