予防接種

0歳の時に打つ予防接種の話

 こんにちは、つま小児科クリニックのブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではクリニックのことや、小児科に関係する色々なことをお話させていただこうと思っております。

 今回は0歳の時に打つ予防接種の種類とその効果についてお話させていただきます。

(本稿の内容は2023年4月23日に投稿した内容を最新の情報にアップデートしたものです。)

 予防接種スケジュールを確認されたい方はこちら(NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会のHPにリンクしています)

 (1歳以降の予防接種の種類とその効果の情報はこちら)

 

◎5種混合ワクチン

 通常生後2、3、4か月と1歳時に合計4回接種します。

 ヒブ、百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオを予防するワクチンです。

 ヒブ:細菌性髄膜炎や敗血症、重症肺炎の原因となるインフルエンザ菌とう細菌です(冬にはやるインフルエンザとは全く別物)を。 予防効果は高く、ヒブワクチンの定期接種が開始される前に年間400人前後が罹患していたヒブの細菌性髄膜炎がほぼゼロになりました。

・百日咳:乳児期早期に感染すると激しい咳や、無呼吸から致死的になることもある病気です。ワクチン接種後にも感染自体は起こりますが、かぜ症状程度で済むことが多いです。現在日本では年間数千人の患者さんが発生しています。

・ジフテリア:激しい喉の痛みや、呼吸困難が起こります。2000年以降、日本国内でジフテリア感染は起きていません。

・破傷風:深い傷から菌が侵入し、発症すると筋肉が硬直したり痙攣したりして、息が出来なくなる病気です。日本では年間100例程度、主に高齢者に感染がみられます。予防接種によりほぼ100%予防出来ますが、予防接種後10年ほどで免疫力が落ちてきます(11-12歳時に追加接種があります)。

・ポリオ:感染しても発症しないことがほとんどですが、一度発症すると全身の筋肉の麻痺が起こり、生涯治りません。日本国内では予防接種によりポリオ感染は近年起こっていません。

 

◎肺炎球菌ワクチン

 通常生後2、3、4か月と1歳時に合計4回接種します。

 90以上のタイプがある肺炎球菌のうち、細菌性髄膜炎や敗血症、重症肺炎の原因となる17~20タイプの肺炎球菌感染を予防します。肺炎球菌による重症感染症を80%程度、細菌性髄膜炎を90%程度予防します。

 

◎B型肝炎ワクチン

 通常生後2、3、7か月時に合計3回接種します。

 肝臓に感染し、急性肝炎や慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんの原因となるB型肝炎ウイルスの感染を予防します。B型肝炎ウイルスは主に輸血などの血液感染や、性的接触により感染しますが、唾液、涙、汗からも感染するため、保育園などの集団生活やコンタクトスポーツ(身体の接触があるスポーツ)でも感染が起こることがあります。B型肝炎ワクチンを接種することにより、90%以上のB型肝炎ウイルス感染を予防することが出来ます。

 

◎ロタウイルスワクチン

 ロタウイルスワクチンには2種類あり、2回接種のものと3回接種のものがあります。通常生後2、3(+4)か月時に合計2回もしくは3回接種します。

 主に5歳以下の胃腸炎の原因となるロタウイルスを予防します。ロタウイルスはワクチン導入前は国内で年間80万人程度が感染し、うち5-10%が入院治療を必要とするウイルスでした。ロタウイルスワクチンを接種することにより、ロタウイルスの感染自体を80%予防し、重症のロタウイルス胃腸炎を90%予防する効果があります。

 

 

◎BCG

 通常生後5か月時に1回接種します。いわゆるハンコ注射です。

 結核菌の感染により起こる結核を予防するワクチンです。結核は現在日本では主に成人で年間数万人が発症し、2000人前後が亡くなっていますが、小児でも年間100人程度に発生しています。BCGを接種することにより、結核菌の感染を50%程度、重症化を85%程度予防することが出来ます。

 

◎日本脳炎ワクチン

 生後6か月以降に4週間隔で2回接種し、1年後にもう1回追加、9歳時にもう1回追加します。

 初回接種の定期接種の推奨期間は3歳時とされていますが、生後6か月過ぎてお母さんからもらった免疫がなくなったらワクチンを打った方がよいと考えられます(「日本脳炎ワクチンの接種時期の話」もご参照ください)。生後6か月から3歳未満のワクチンの投与量は3歳以上の半量ですが、効果は差がないとされています。日本脳炎自体は日本では最近年に数十人以下しか発生がみられませんが、小児でも患者がみられ、有効な治療法がなく、発症すると後遺症がのこったり命にかかわることもあるため予防が重要です。

 

◎インフルエンザワクチン

 生後6か月を過ぎたらインフルエンザのワクチンが接種可能となります。通常10~12月頃に2~4週間隔で2回接種します。

 0歳時のインフルエンザワクチンは重症化を防ぐ効果はありますが、年長児と比較するとそのシーズンの感染を防ぐ効果は低いです。また、0歳時に接種しておくと翌年からのインフルエンザワクチンの効果が高くなります。

 生後12か月までのインフルエンザワクチンについて詳しく知りたい方はこちらを参照してください。

 

 

 以上、0歳時にうつ予防接種についてお話させていただきました。

 最後までご覧いただきありがとうございました。

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