アレルギー

気管支喘息の話

 こんにちは、つま小児科クリニックのブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではクリニックのことや、小児科に関係する色々なことをお話させていただこうと思っております。

 今回は気管支喘息についてお話させていただきます。

 

◎気管支喘息とは

 何らかの原因により、空気の通り道である細い気道(気管支)に慢性的に炎症が起こり、気道が狭くなる病気です。かなり重症の方でなければ普段は無症状なのですが、かぜなどの気道感染をきっかけに気道がさらに狭くなり、息を吐くときにひゅーひゅー、ぜいぜいといった音が聞こえる喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難を起こす喘息発作が生じる病気です。

 

◎原因と治療について

 原因と治療についてのモデル図をお示しします。

 

<原因について>

 年長児以降の原因として最も多いのは、ダニやハウスダストなどの吸入アレルゲンです。アレルゲンを慢性的に吸い込んでいると気管の炎症が持続し治療のコントロールに難渋することもあります。

 一方、5歳未満の年少児では、アレルギー素因がなくてもウイルスなどの感染時や感染後に気管支喘息のような状態になることがあります。5歳未満の気管支喘息は乳児喘息と呼ばれ、5歳以上の気管支喘息とは区別されます。多くのウイルスが気道の慢性炎症の原因になりますが、RSウイルスというウイルスが特に原因となりやすいことが知られています。

<治療について>

 気管支喘息の治療は、以下の3つを組み合わせて行います

① 慢性炎症の原因を取り除く(気管支喘息の環境整備方法はこちら)

② 慢性炎症を抑える

③ 喘息発作が起こった場合、発作を抑える

 ①についてはリンクを参照していただければ幸いです。②、③についてはここでご説明させていただきます。

 

◎慢性炎症を抑える治療

・ロイコトリエン受容体拮抗薬:効果は弱めですが、飲み薬で味も悪くないため、行いやすい治療です。

 1日1回内服のモンテルカスト(キプレス®:5歳以下は粉、6歳以上はチュアブル錠)と、1日1回のプランルカスト(オノン®:粉もしくはカプセル)があります。

・吸入ステロイド:効果は高いですが、特に年少児では吸入がうまくできないためネブライザーの購入が必要で、時間もかかります。血液中にはほとんど吸収されないため、気になる副作用はほとんどありません(ただ、口の中の粘膜に残ると良くないので、吸入後のうがいや飲食はした方がよいです)

・抗アレルギー薬など:補助的に用いることがあります。

※あくまで予防のための治療なので、発作が起きた時にあわてて行っても効果はありません

 

◎発作が起きた時の治療

・気管支拡張薬:即効性がありますが、炎症を抑える効果はないため過信は禁物です。副作用として動悸、手の震えなどがみられることがありますが、薬を中止すればおさまります。

吸入、飲み薬としてメプチン®:粉、貼付薬(貼り薬)としてツロブテロール(ホクナリンテープ®)があります。即効性は①吸入②飲み薬③貼付薬の順です。

・鎮咳去痰剤(かぜ薬):症状の改善のために使用します

・ステロイド全身投与:炎症を強力に抑える作用がありますが、効果があらわれるまで数時間かかります。また頻回にステロイドの内服を行っていると成長障害などの副作用が出ることもあります。いわゆる「奥の手」の治療です。点滴で行うこともありますが、通常には飲み薬で投与します。

※上記の治療を行っても効果が乏しい場合や呼吸苦が強い場合は入院治療が必要です。

 

◎発作時の受診の目安

 診療時間中であれば咳やぜいぜいなど、気になる症状があれば受診してください。ぜいぜいという音自体は鼻水が出ると聞こえることもあるので、気管支喘息の喘鳴かどうかは聴診器を使用しないと判断できないことが多いです。

 夜間や休日であっても受診をした方がよい目安としては、苦しくて眠れない、顔色が悪い、呼吸が荒い(鎖骨の上や肋骨の間が呼吸に合わせてへこむ)などの場合は受診が必要です。呼吸状態の客観的な指標としては1分間の呼吸の回数を測定しましょう。速い場合は呼吸困難になっていると考えて受診することが望ましいです。受診が望ましい1分間の安静時呼吸数(15秒間の値を測定し、その値を4倍しましょう)は1歳未満で50回以上、1~5歳で40回以上、6歳以上では30回以上が目安です。

 

 

以上、気管支喘息についてお話させていただきました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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