こんにちは、つま小児科クリニックのブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではクリニックのことや、小児科に関係する色々なことをお話させていただこうと思っております。
今回は花粉症についてお話しさせていただきます。
◎こどもにおける花粉症の割合
スギ花粉症は0~4歳が3.8%、5~9歳が30.1%、10~19歳が49.5%と報告されています1)。0歳児が花粉症になることは通常ありませんが、早い方だと2歳前後から花粉症の症状を認める方もいらっしゃいます。花粉症などのアレルギー性鼻炎は近年有病率が増加傾向であり、こどもも含めまさに国民病となっています。
【参考文献】
1)松原篤ほか:鼻アレルギーの全国疫学調査2019 (1998年, 2008年との比較) : 速報―耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として.日耳鼻 2020;123:485-490
◎花粉の飛んでいる時期
近畿地方ではスギ花粉は2月後半から3月頃、ヒノキ花粉は3月後半から4月頃に多く飛散します。夏から秋にかけてイネ科(カモガヤ、オオアワガエリなど)やブタクサの花粉が飛散し、花粉症の症状が出現することもあります。
◎花粉症の診断はどうやって行うか
花粉症の診断は、花粉症の時期になると鼻水、目のかゆみ、くしゃみなどが起こる(特に晴れている日に外出すると悪化する)という症状があったうえで、下記の所見を参考に行います。
・診察所見:鼻の中を見て、鼻の粘膜の状態を見ます(アレルギー性鼻炎では青白く腫れていることが多いです)
・鼻水の所見:通常アレルギー性鼻炎ではサラサラの鼻水が出ます
・血液検査:原因となるアレルゲンの値が上がっているかどうか調べます
◎花粉症の治療はどのように行うか
花粉症の治療は、症状に応じて下記の治療を組み合わせて行います。
【飲み薬】通常抗ヒスタミン薬を使用します。抗ヒスタミン薬には色々な種類がありますが、通常眠くなりにくい薬を年齢や症状に応じて選択して処方します。場合により、漢方薬を補助的に処方することもあります(お子さんでは漢方薬は飲みにくいこともあるため、適宜相談しながら治療を行います)。
【目薬】抗ヒスタミン薬の点眼を行います。症状が強い場合はステロイドの点眼を併用することもあります。
【点鼻薬】ステロイドの点鼻薬を使用します。花粉症の時期のみ使用する場合は気になる副作用が出ることはほとんどありません。また、補助的に抗ヒスタミン薬の点鼻薬を使用することもあります。
【舌下免疫療法】スギ花粉症に対して根本的な体質改善(長期寛解・治癒)が期待できる唯一の治療法です。ただ、数年間と長期間の治療が必要なこと、速効性がないこと、スギ花粉の飛散時期には開始できない(通常6~12月に開始します)ため注意が必要です。舌下免疫療法について詳しく知りたい方はこちら
◎日常生活で気を付けたいこと
花粉を避けるための行動は以下の通りです。全て実践するのは難しいので、できそうなものから取り組んでいきましょう。
・家に入る前に衣服、髪の毛についている花粉をよくはらい、室内に入ったらすぐ着替えてうがい、手洗い、洗顔をしましょう。
・窓はなるべく開けず、洗濯物や布団はなるべく屋外で干さないようにしましょう。屋外に干した場合でも取り込む前にしっかりと花粉をはらうようにしましょう。
・空気清浄機やエアコンのフィルターをこまめに水洗いしましょう。
・床もこまめに掃除しましょう。この時は掃除機よりも、拭き掃除の方が花粉が舞い散りにくいのでおススメです。
・外出時はメガネやマスクをつけましょう。コートは花粉を落としやすい、表面がつるつるのものがおススメです。
以上、花粉症についてお話させていただきました。
最後までご覧いただきありがとうございました。