◎どんな病気か
・ウイルスや細菌が胃腸に感染し、嘔吐、下痢、発熱、腹痛などが起こる病気です。
・原因はウイルス感染が圧倒的に多く、最初嘔吐で発症し、時間差をおいて発熱や下痢が起こることが多いです。
・原因となるウイルスはノロウイルス(10月~12月に多い)、ロタウイルス(春に多い)、アデノウイルス(1年中起こりうる)などです。
※基本的な治療方針や登園・登校基準はどのウイルスでも変わらないため、当院では原則として胃腸炎の原因ウイルスの迅速抗原検査は行いません。
◎症状の一般的な推移について
※経過は個人差が大きいため、目安程度にお考え下さい
・嘔吐:半日以内におさまることが多いです。
・発熱:みられない方もいますが、1~2日程度でおさまることが多いです。
・下痢:通常数日以内におさまりますが、人によって数週間持続することもあります。なかには下痢のみられない方もいます。
◎経口摂取の進め方について
・まずは脱水の予防のために水分摂取を優先させましょう。この時水分だけでなく塩分・糖分も一緒に摂取しましょう。
・経口補水液(OS-1)が理想的ですが、母乳やミルク、スポーツ飲料、イオン飲料、ジュース(出来れば柑橘系は避けて)でも構いません。
・ミルクは薄める必要はなく、普段の濃さで作っても大丈夫です。
・一度にたくさん摂取すると嘔吐しやすいので、最初は少量(体重1㎏あたり1ml程)から開始し、嘔吐がなければ10-20分に1回程度の頻度で徐々に増量してください。もし嘔吐がみられたら1-2時間程度お休みして、また最初の量から再開してください。
・こどもは嘔吐していても多く飲みたがることもありますが、飲むと吐いてしまうリスクが高いため、保護者の方が量を調節してください。
・水分が十分摂取できるようになれば、消化に良さそうな食べ物を少量ずつから開始してください。必ずしもおかゆやうどんでなくても大丈夫です。こどもが好きなもので消化の良い食べ物を選択してください。
◎病院で処方される薬について
主に対症療法といって、症状を緩和させる薬が中心に処方されます。
・吐き気止め(坐薬、内服):胃腸運動を活発にして、吐き気を軽減させます。
・整腸剤(内服):お腹の調子を良くする薬です。嘔吐がおさまってから内服開始してください。
・解熱剤(坐薬、内服):熱が高くてしんどそうな時に使用してください。
※いわゆる「下痢止め」はウイルスの排出を遅らせて病状を悪化させる危険性があり、急性期には使用しません。
※薬は通常余裕をもって長めに処方しています。症状がおさまれば保護者の判断で中止しても構いません。
◎登園・登校の基準について
・インフルエンザのように明確な登園・登校基準はありません。
・しっかり解熱し、食欲が十分あって、下痢がおさまっていることが目安です(3~4日程度のことが多い)。
◎家族にうつるか
・よくうつります。下痢がおさまって数日間はウイルスを排出し、潜伏期間(感染後発症までの時間)は1~3日程度のことが多いです。
・通常嘔吐物や便から経口感染するため、処理後はしっかりと石けんで手洗いしましょう。またタオルの共有も避けましょう。
・ノロウイルスなど、胃腸炎の原因となるウイルスはアルコールが効かないことが多いので、環境の消毒には次亜塩素酸ナトリウムを使用した方がよいでしょう。具体的な方法については、島根県感染症情報センターのホームページに詳しく記載されていますので、参考にしてください。
◎病院再診の目安について
【夜間であっても受診が必要な目安】
・嘔吐が持続し、水分が全く摂取できない状態が続く時(年少児では半日程度嘔吐が持続すると、脱水となり点滴が必要なことが多いです)
・腹痛が強い時
・活気がなく、ぐったりしている時
【日中に再診した方がよい目安】
・嘔吐はおさまったが、数日(状態によりますが3日程度が目安です)熱が続く場合 ⇒ 診察の結果血液検査等追加することがあります。
・おむつかぶれが強い時 ⇒ 皮膚の状態を観察し、必要な薬を処方します。
・薬を飲み切っても下痢が続く場合 ⇒ 薬を追加することがあります。
・他、普段と様子が違うなど何かご心配なことがある時
※上記は一般的な対応です。ご不明点等あればお気軽にスタッフにお尋ねください。