◎ヒトメタニューモウイルスとは
・主に幼児期の呼吸器感染症の原因となるウイルスで、2~6月頃に流行することが多いです。
・名前はヒト(人間に感染する)+メタ(メタというウイルスの種類)+ニューモ(呼吸器、肺に感染する)ことに由来します。
◎症状について
・潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)は4~6日のことが多く、発症後2、3日程度は一般的なかぜ症状(発熱、鼻水、咳)があり、そのまま解熱し咳・鼻水は徐々に治癒する人が多いですが、なかには5~7日程度発熱が続き、肺炎に進展したり、別の細菌に混合感染を起こしてしまうこともあります。
・咳や鼻水は熱が下がってもしばらく続くことが多いです。また、鼻水が続く場合中耳炎を合併することがあります。
◎2回以上かかることはあるか。大人にもうつるのか
・ヒトメタニューモウイルスは何回でもかかります。ただ、かかる度に免疫が少しずつついていくので、2回目以降は軽症で済むことが多いです。
・大人は感染しても無症状やごく軽症のことがほとんどですが、免疫力の低下した高齢者では重症化することもあり、注意が必要です。
◎治療法について
残念ながらヒトメタニューモウイルスには抗生物質は効果がなく、有効な抗ウイルス薬もありません。
対症療法といって、症状を緩和させる薬が中心に処方されます。
・咳止め、痰切り、鼻水の薬
・気管支拡張薬(飲み薬、貼り薬)
・解熱剤(坐薬、飲み薬)
※経過が長かったり、血液検査で炎症反応が高い場合はヒトメタニューモウイルスだけでなく別の細菌にも感染している可能性もあるため、抗生物質を処方することもあります。
◎登園・登校基準について
・発症から1~4日後に感染力が最も強いです。また、ウイルスの排泄自体は発症から1~2週間持続します。感染は飛沫感染(くしゃみや咳などのしぶきでうつる)や、接触感染(鼻水や唾液などでうつる)ため、手洗い、うがい、マスク、タオルや食器を分けることが有効です。
・インフルエンザのように明確な登園・登校基準はありません。また、通常登園・登校許可証は不要ですが、念のため園や学校に確認してください。
・登園・登校再開の目安はしっかり解熱し、食欲が十分あって、咳や鼻水がそれなりにおさまっていることです。
◎病院再診の目安について
【夜間であっても受診する目安】
・水分の摂取が全く出来なかったり、活気がなく、ぐったりしている時
・呼吸が苦しそうな時:苦しくて眠れない、顔色が悪い、呼吸が荒い(鎖骨の上や肋骨の間が呼吸に合わせてへこむ)などの場合は受診が必要です。呼吸状態の客観的な指標としては呼吸回数を測定しましょう。速い場合は呼吸困難になっていると考えて受診しましょう。
<受診が望ましい1分間の安静時呼吸数の目安(15秒間測定した値を4倍しましょう)>1歳未満:50回以上、1~5歳:40回以上、6歳~:30回以上
【日中に再診した方がよい目安】
・受診後2-3日しても熱が下がらない時:診察をして、必要であれば血液検査等行います。
・他、普段と様子が違うなど何かご心配なことがある時
※上記はあくまで一般的な対応です。ご不明点等あればお気軽にスタッフにお尋ね下さい